全国海洋散骨船協会

ルール&マナー

海洋散骨のルール

海洋散骨は、新しい葬送の方式として徐々に社会に認知され、浸透し始めて来ました。ここ数年で海洋散骨を希望される方も増加し、それに伴って海洋散骨を仕事とする事業者も増加しております。

こうした事業者のホームページなどでよく見かける説明として、1991年に法務省が「葬送を目的とし節度を持って行う限り、死体遺棄には当たらない」との見解を出したことが掲載されております。
また東京都福祉保険局のホームページには、散骨に関する留意事項として、以下のような国の見解が掲載されております。
「墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はない。この問題については、国民の意識、宗教的感情の動向等を注意深く見守っていく必要がある」

このように海洋散骨につきましては、現在のところ法による明確なルールは確立されておりません。
しかし、海洋散骨には船を使います。船の運航には明確なルールがあり、海上を航行するものはこのルールを守らなければなりません。
一般社団法人全国散骨船協会は、旅客船の運航資格を保持する旅客船事業者の協会です。海に精通した船のプロフェッショナルとして、安心して海洋散骨全般に渡る指導的集団として、海洋散骨に係るルール作りに努めます。

海洋散骨のマナー

海洋散骨の舞台は海です。海はそこに関わる大勢の人々の生活を支えています。漁場としての海、観光地としての海、生活の場としての海。
海洋散骨は、海で生活する方々の生活を守るため、風評被害や宗教的感情を損なう行為があってはなりません。
同じく海を仕事場としている旅客船事業者として、海に関わる人々の生活の場を脅かすことなく、お互いに協力し、健全な海洋散骨の発展を目指します。

節度ある海洋散骨

海洋散骨における節度とは何か。周囲の方々に迷惑をかけない、不快な思いをさせないこと。そして安全の上に成り立った、故人やご遺族の方々に満足していただける散骨こそ理想と考えます。
こうした理想を実現するために、今後散骨海域の設定やガイドラインの策定を行い、お客様に安心してご利用いただける散骨船の育成を目指しています。

一般社団法人海洋散骨船協会では、散骨を行う船と海で生活する方々、両方の立場からこの問題に取り組んでいきます。

海洋散骨の現状

現時点で海洋散骨は、法的な基準がないため、散骨を行う個々の事業者のモラルによって行われています。一般的に散骨を行ううえでは、以下のルールが普及しています。

1. 粉骨
遺骨はそれが人の骨とわからない程度に粉砕し、水溶性の袋に入れて散骨する。(2mm以下といわれています。)
2. 環境への配慮
散骨の際に供されるものに、自然の中で分解しないものは海に流さない。映画などではセロファンに包まれた花束などが海に投げ込まれるシーンがありますが、多くの散骨では、花びらのみが供されています。
3. 宗教的感情への配慮
散骨する場所は、見た人の感情を踏まえ、岸や周囲の船舶から相応の距離をとり、散骨しているとわからない程度に離れた場所で行います。事業者によってはご遺族の服装等にも配慮し、平服での乗船をお願いしています。
4. 風評被害への配慮
散骨を行うことにより、周辺海域への風評被害を防ぐため、海水浴場や漁場、養殖場、また定置網などを避けて散骨を行っています。
5. 安全配慮と法の遵守
海洋散骨は海上で行われるため、当然のことながら、海上の法に従わなければなりません。航路を守ることはもちろんですが、お客さまの安全確保のため、天候の判断と安全装備の確保、旅客不定期航路の取得なども必要です。また天候によっては思い切った中止の判断も必要となります。